さよならはまたあとで

放課後になると、律太は「またね!」と言って、宣言通り先に帰ってしまった。

今日から文化祭の準備。

私にクラスをどうまとめろというのだろう。

好き勝手騒ぎ放題のクラスメイト達に、私は小さくため息をついた。


「あいつも自分勝手だよなぁ」


そう声がして振り向くと、いつの間にか隣に葛城がいた。


「まぁ、俺も人のこと言えないけど…
ファッションショーのモデル、勝手に優恵ちゃんの名前出しちゃってごめんね」


彼は申し訳なさそうに頭を掻いた。

「気にしてないよ」と私は答えた。


「俺はさ、本当に優恵ちゃんにやって欲しかったんだ。
だってさ、きっとあのままだったらあの人達の誰かが「仕方ないなぁ」とか言いながらノリノリで立候補するオチだったからさ。」


葛城は顎で一番騒がしい女子の集団を指した。
四月に、私のことをあれこれ話していた人たちだ。


「嫌いってわけじゃないんだけど、なんだかなぁ」


葛城はそう言って苦笑いしていた。


「葛城君にも苦手な人っているんだね」


私は、葛城のような人気者には、苦手な人がいないと思っていた。

誰だって人気者と仲良くなりたい一心で、自分のいいところばかり見せつける。

だから、その人の嫌なところを知ることがない。

だから苦手になることはない、と。