さよならはまたあとで

二人がそれぞれの席に戻ってしまうと、それと入れ替わるようにして律太が戻ってきた。


「俺、今日放課後残れないんだよね」


彼は申し訳なさそうにそう言った。
そういえば、今日は水曜日だ。


「そう、わかった」


私は次の授業の支度をしながら適当に頷く。


「文化祭、一緒に回ろうか」


律太の言葉に私は手を止めた。
それじゃまるで、カップルじゃないか。
私はまだ、燈太への恋心を忘れられていない。


「葛城君も一緒に?」


私は律太を見上げた。
目障りなタイマーがちらりと視界に入ってしまう。


「………な、そうに決まってるだろ?優恵ちゃん、一人だと思って誘ったんだよ」


「一人って…」


そう言いかけて私は止めた。
悲しそうに笑う律太が見えてしまったのだ。
さっきのは失言だったのだろうか?
わからない。
だって、いつも三人でいるじゃないか。

完全に次の言葉を失った私。

それなのに律太は何もなかったかのように、いつの間にか違う話題に切り替えていた。