高校2度目の春はあっという間にやってきた。

既に出来上がった女子グループを横目に、私は1人、自分の席に着く。

今年も去年と同じように過ごせばいい。

読みかけの本を開き、自分の世界に入る。


「なぁ、あの子、めっちゃ可愛くない!?」


誰かが私のことを指差すのが、視界の端にちらりと映った。

「あぁ、あの子、すごく冷たいんでしょ?
近くづくなオーラ凄すぎ。
俺の友達が声かけたら、すごい顔で睨まれたって言ってたぜ。」


「うわ、勿体無いな。もっと笑ってればいいのに。」


こんな会話が耳に入るのもずいぶん慣れた。