「よいっと…お嬢さん、足元気を付けて」
執事の真似をする明良に頬を緩める。
私と彼が電車を降りたのは、本来律太と行くはずだった海の近くの駅だった。
潮風が鼻をくすぐり、頬を撫でる。
駅のホームを抜けて、空を仰ぐ。
燦々と降り注ぐ太陽の光はさらに強く、空は雲がくっきりと見えるほど真っ青だった。
大きく息を吸い込んでふぅっと吐くと、溜め込んでいた涙が潮風に乗って飛んでいった気がした。
相変わらず連絡の一つもないけれど、心はからっとしてる。もう大丈夫。
「いい気持ちぃーーっ」
両手を広げてくるくる回る明良はまるで子供みたいで本当に可愛い。
「俺この色好きだぁ」
空を指差す彼の横顔は、光に照らされて、いつもより白く感じた。

