さよならはまたあとで

タイマーは残り一時間をきった。

59分58秒、59分57秒、59分56秒…

私は気のせいだと思った。

ずいぶんと久しぶりに人と目を合わせたから、頭がびっくりしたのだろうと。

「そろそろみんなのとこ行こうかな」

彼はそう言って立ち上がった。

真っ黒なランドセルを背負って玄関に向かい始める。

「燈太君!」

私は玄関の扉を開けて外に出ようとする燈太を呼び止めた。


「なに?優恵ちゃん」


「えと…その、事故…」


「事故?何のこと?」


「ううん、その…事故に気をつけて」


私はこう言うしかなかった。