さよならはまたあとで


「お願いっ!死なないで!!いなくならないで!!」


泣きじゃくる私に、律太は少し困った顔で笑った。

それから私をぎゅーっと両手で包み込む。


「俺はここに居るよ。」


律太の低く優しい声が肩越しに聞こえてくる。


「俺はちゃんと、生きてるよ」


「でも、でも…!」


律太の肩が私の涙で濡れる。


「なーに?見えるの?」


私は頷く。


「大丈夫だよ、運命なんて、簡単に変わるよ」



違うんだよ。



私は声にならなかった言葉を心で叫ぶ。

そうだったら律太の余命は、長くなってるはずでしょ。

でもね、最後に見た律太のタイマーは、あの日から1秒も変わってなかったんだよ。

運命なんて、そう簡単には変えられないんだよ。

根拠のない「大丈夫」なんて言わないでよ。


私はこの気持ちを涙に変えることしかできなかった。