このとき、私はやっと自分の目に違和感があるのを感じた。
見えない。
見えないのだ、あの、忌々しいタイマーが。
私は焦る。
もしかしてと、私は左目をそっと掌で隠した。
最近、左目が見えにくくなっているのを感じていた私の推理は的中していた。
まだ視力の良い右目にはぼんやりと文字盤が見える。
でも、そっと手を離すとそれは消えた。
「なに?どうしたの?」
さっきまでじゃれ合っていた二人が私を見つめる。
「んーん!なんでもないよ!」
私は無理に笑って、「アイスティー美味しいなぁ」とか言ってみる。
この調子じゃ、いつ右目が見えなくなってもおかしくない。
あんなに嫌で、
悲しくて、
苦しくて、
見えなくなればいいのにって、
消えちゃえばいいのにって、
ずっと、ずっとそう思っていたのに。
私はそれの重要性にようやく気がついた。
これがあるから私は律太の余命が分かった。
律太を助けるために動けていた。
そもそも、私が律太のことを助けられるなら、律太があの日より前に死んでしまうなんてことも有り得るのではないだろうか。
どうしてこんなに大切なことに気づかなかったんだろう。

