その放課後の事。

 希莉と柚実とは何の発展が無いまま、また一日が終わってしまった。

 このままでいたら、本当に私達は終わってしまう。

 希莉が帰り支度をしているのを見ながら、悩んでは葛藤し、近江君の言葉を思い出しては反芻し、覚悟を決めて我武者羅に立ち上がったその時、突然誰かが私の肩を叩いて、教室の後ろのドアを指差した。

 振り返れば、別のクラスの女子生徒達が私に『おいで』と手招きして呼んでいる。

 話した事はないけど、顔はなんとなく見たことがあるような人達だった。

 訝しげになりながらも呼ばれるままにそっちに足を向けた。

「あの、何か用?」

「あなた、二年のクラスに昨日行ったでしょ」

「えっ?」

「えっ、じゃないよ。なんか大変な事になってるみたい。それがさ、先輩がA校舎の裏に来てっていってたよ」

「ちょっと待って。その先輩って誰?」

「なんかやばいことしたんじゃないの? 私はたまたま部活の先輩に言付かってさ、二年の教室に入って草壁先輩と話した一年生を探してきてって言われたの。そしたら草壁先輩と一緒に帰った子がいるってたまたま耳にしてさ、あなたに辿りついただけ」

 これって、まるで集団リンチへのお誘いですか?