「ハルの事も守りたいし、全てを丸く修めたい、全てがそう上手くいくもんじゃないと思う。千咲都ちゃんは自分一人で抱え込みすぎたんだよ」

「抱え込みすぎた?」

「そして、それを一人で勝手に思い込んで処理しようとするから知らないものには誤解を招く。いつもごめんなさいばかりと謝っているだけでは何も解決しないよ。必ず係わった人の気持ちも入ってくるし、相手が納得しなければ、それは上辺だけの謝罪でいつまでも禍根が残るんじゃないかな」

「やっぱり先輩も私を見てたらイライラしますか?」

「うーん、どうだろう。今は千咲都ちゃん、俺に何もかも話してくれてるだろ。理由がわかってたらそうは思わないな。寧ろ、かわいい…… なんてね」

「えっ?」

「ほら、男って年下の女の子から頼られて、悩みを聞かされると結構自尊心をくすぐられるもんなんだよ。俺って特別なんだとか、助けてやりたいとか王子様気取りになったりしてね」

 その後、草壁先輩は照れるように笑っていた。

「はぁ……」

「あっ、今バカな男だと思っただろう?」

「いえ、そ、そんな」

 目が回るくらいぶんぶんと首を横に振った。

 草壁先輩はそれを見て一段と楽しそうにしていた。

 つられて私も微笑んでみたものの、なぜ草壁先輩と一緒に歩いているんだろうと思うと、突然目の前の景色がゲシュタルト崩壊してきた。