「私ってそんなにダメなんだろうか」

「えっ、何を言ってるの。千咲都はいい子なのはわかってるよ。希莉だってもちろんわかってるよ。希莉が前に言ってたよ、千咲都がかわいいって。一緒にいて楽しいって」

「だったらどうして許してくれないの?」

「あのさ、千咲都は希莉や私の事どう思ってる?」

「もちろん大好きだけど」

「だったら、絶対わかると思うんだ。希莉がどうして欲しいかってこと。なんでも謝るだけが、希莉が望んでることじゃないんだってこと」

「えっ?」

「希莉の本当の気持ちわかってあげて。私の事もそうだけど、千咲都はいつも表面しかみてないんじゃないかな」

 近江君と同じ事を言われた。

 一体どういうことだろう。

 いろんなことに振り回されすぎて、私は益々わからなくなってしまった。

 柚実は客観的に話をしてくれたのだろうけど、柚実も内心イライラしているように感じた。

 それを気にすると言葉につまり、私は息苦しくなる。

 何を答えていいかわからないまま黙り込む私。

 その態度を柚実が残念そうに見つめる。

 また間が空いて、それを補うように私は余計な事を口走った。

「柚実ももしかして怒ってる?」

「怒ってないわよ。でも普通でもいられる訳ないでしょ」

「ごめん……」

 謝ることを憚られるような気持ち故の蚊の泣くような声が漏れた。

 同じように柚実の微かな溜息が聞こえる。

 これ以上、柚実とも仲が悪くなるのも嫌で、私は用事があると言って、教室を出て行った。

 私が去った後で柚実が何を思っているのか考えると怖くなってくる。

 一体どうすればいいのだろう。