私のベッドの上でブンジが丸まって寝ている。

 名前を呼ばれたことに反応して顔を上げ、寝ぼけ眼で私を見つめる。

 その後は大きなあくびでお口の中を存分に見せてくれた。

 そしてむくっと起き上がっては足を前に突き出し、体をそらして思いっきり伸びをした。

「にゃーん」

 か細い声を出してベッドを降りようと様子をみてる。

 ゆっくりとベッドの側面に前足を置いて慎重になりながら滑るように下りてきた。

 以前ほど機敏にジャンプができないようだった。

 確かにブンジの動きは鈍くなってきたように思える。

 だけどまだまだ毛並みはよく、食事だってしっかりと食べるので元気ではあった。

 年はとっても、とても甘えん坊で私に抱っこされたいと、足元に来ては私を見上げている。

 私はブンジを抱き上げ、軽くぎゅっと包み込んでから机の上に下ろした。

 ブンジは目ざとく、すぐに白い封筒に興味を持ち、早速匂いをかいでいた。

 手で少しだけ触ってちょっかいを出すが、大したものではないと判断すると、すぐに興味が失せたみたいだった。

 その後かしこまってちょこんと座わり、私の様子を伺っている。

 頭を撫ぜてやると、いつもの喉のゴロゴロが聞こえ始めた。

「あーあ、ブンちゃんならどうする、この手紙?」

 猫に問いかけても仕方がないが、とんでもない問題を抱えて、次の日、学校に行くのが怖くなっているだけに、つい誰かに聞いてもらいたくなる。

 それが猫であっても。

 ブンジは手紙の事などどうでもいいとばかりに、机の上に座ったまま、素知らぬ顔で顔を洗い出した。

「毛づくろいでキレイキレイだね」

 それを見て、考えていても仕方がないと私は立ち上がった。

「ブンちゃん待っててね。私もお風呂入ってくる」

 お風呂に入れば、少しは気が紛れるかもしれない。

 さっぱりすることだけは確かだ。

 手紙はそのままにして、まずは自分のことだけを考えた。

 しかし、それがいけなかった。

 お風呂から戻ってきた時、私の気掛かりがボーナスステージのように倍増してしまった。

「あー、ブンジ!」