外は蝉が至る所でうるさく鳴き、日差しは強く汗がじわりと肌からにじむ。

 ただただ熱くダレてしまうが、これぞ日本の夏として私は嫌いじゃなかった。

 近江君がいるシアトルはどんな夏なのだろう。

 調べても活字で説明を見るだけでは想像がつかなかった。

 季節に関係なく近江君はせっせと勉学に励んでいることだけはイメージできた。

 櫻井さんもアメリカに旅立ち、近江君と向こうで会ってることだろう。

 近江君は時間があれば勉強に費やす人だから、櫻井さんと一緒に過ごす時間もそんなにないかもしれない。

 櫻井さんだって、いくら近江君が好きと言っても恋に現を抜かせるほどの余裕をもてるだろうか。

 忙しい近江君は周りに人を近づけなさそうに思える。

 二人はきっとすれ違って……

 自分のいい様に考えようとしたが、実際現地を見ない限り、憶測だけではなんの役にも立たなかった。

 近江君のお母さんに慰められても、現実は不安だらけだった。

 どっちにしろ、近江君がどの道を進みたいかが大事だから、私がとやかく言っても無駄なだけ。