「ところで、希莉、昨日声を掛けられたあの話、あれからどうなったの?」

 希莉はやはりかわいいので、良くもてている。

 前日の放課後も、数人の別のクラスの男子生徒達が希莉に声を掛けて呼び止めた。

 希莉は少しだけその男子生徒達と話をするも、すぐに切り上げたみたいで、その後は少し機嫌を悪くしていた。

 その後はそのことに一言も触れなかったので、私は深く追求しなかったけど、今なら訊ける。

 特に私をからかった後は、いいおあいこだ。

「ああ、あれね、別にどうってことない話。なんでも一組の中川君が呼んでるから来て欲しいとか言われただけ。もちろん、嫌だっていって断った」

「そういえば、少し怒ってたみたいだったね」

「まあね。私さ、堂々と自分で行動を起こせない人が嫌いなの。用事があるなら私に直接言えばいいじゃない。友達に呼び出しを頼むなんて、自分が安っぽく見られてるみたいで、プライドが許せないんだよね」

「へぇ、そんなもんなんだ」

 希莉はきっと今までに沢山の人から告白されたんだろう。

 その中で過去に同じように告白されて嫌な目にあってるのかもしれない。

 私には全く縁のない話だった。

「でもさ、希莉は彼氏いるもんね。告白受けても無駄だし、迷惑なだけだもんね」

 柚実が言った。

「まあね」