希莉と柚実が側に居てくれたお蔭で、気持ちが落ち着いた。

 二人は私を元気つけるためにどこかへ行こうと誘ってくれたけど、部活があったために行けなかった。

 それならと、夏休み一緒に宿題したり、どこかへ出かけようと約束し、また後にメールで連絡を取り合う運びになった。

 一学期の無駄に過ごしてしまった日々を取り戻す事も忘れず、この夏目一杯楽しむことを私達は誓った。


 二人を笑顔で見送れば、苦しかった時の事を思い出す。

 色々悩んだ一学期だったけど、お蔭で自分は変われたと思ったら無駄じゃなかったかもしれない。

 近江君と出会って恋をした事も、実らなくったって精一杯の青春を私は送った。

 当分は辛いけど、ブンジの悲しみを乗り越えられたように、この恋もいつかきっと甘酸っぱく大切に思えることだろう。

 トイレの中、洗面所で顔を洗い、涙の痕は残ってないか、鏡で確認してから、私は部室に急いだ。

 加地さんや常盤さんといった敵がまだいる限り、私はもっと強くならなければならない。

 感傷に浸ってぼーっとしている暇は私にはなかった。

「遅れてすみません」