近江君ともいい友達になれたままで、その先へは進めなかった。

 というより、近江君にとって私は彼女対象になってない。

 あれだけ親密に近づいたけど、近江君は私の事が放っておけないだけだった。

 私もはっきりと気持ちを伝えることができずに、モヤモヤと抱え込んでいた。

 そして近江君はもうすぐアメリカに行ってしまう。

 しかもあの櫻井さんと一緒に。

 一年で戻ってくるとはいえ、この一年間は進む行く先を決めてしまうには充分に影響を与える。

 しかも海を越えた異国。

 私の知らない世界を近江君は歩んでいく。

 私が好きだと告白したところで、近江君にはどうすることもなく迷惑なことだろう。

 だから、私は自分の気持ちが処理できずに、胸がつまったように苦しくて、それでいて熱くて焼け焦げそうだった。

 叩けば口から黒煙が出てきそうなくらいに。

 どうにかしたいと思っていた時、私はホームルームで、思いっきり手をあげていた。

 私にはどうしてもクラスでやりたいことがあった。