私が近江君と一緒にバイクに乗って帰ってきたことで、父と母は大騒ぎし、私は一方的に責められた。

 納得がいかない私は反抗して部屋に閉じこもり、一晩を明かしたが、ふと気になることがあり、ずっとそれについて思いを巡らしていた。

 夜明け前に起きだし、その時間が来るまで目覚まし時計と睨めっこしたあと、タイミングを見計らって父が寝ている寝室へ入り込んだ。

 カーテンを閉め切った真っ暗い部屋、デジタル時計から発せられる微かな光にぼんやりと照らされた父と母が、スヤスヤと同じベッドで寝ている。

 私は昨夜の怒りを思い出して、父の体を揺すった。

 父ははっとして目を開け、何事かと恐怖に満ちた目を向け、目の前にいた私に驚いていた。

 それが私だとわかると、起きたばかりの強張った顔をしながら身を起こした。

 側にあった時計で時間を確認した後「こんな朝早くから一体なんだ」と不機嫌に訊いた。

 隣で母も、異変に気がついて起き出した。

「チーちゃん、一体何?」

 母は無視して、父だけを見て私は言った。

「お父さん、話がある」

「話って、こんな朝早くにか。後にしてくれ」

「今じゃないと、もう二度と話さないから」

「千咲都」

「とにかく下に下りてきて」

 私は部屋を出て行くと、父もしぶしぶと起きて後をつけてきた。

 母も心配して一緒についてくる。