昔から、男の人とはあまり話しなれてない。

 高校生になったら、普通に話す努力をすべきなのだろうかと思いつつも、私は挙動不審に慌てていたと思う。

 その時また質問された。

「名前は?」

「えっと、遠山千咲都……」

「えっ、お前じゃなくて、猫だよ、猫の名前」

「あっ、ああ、そ、それはブンジ……だけど」

 私の顔はもう真っ赤だったと思う。

 熱いものが顔からでてくるようで、恥かしかった。

「ブンジか、雄か……」

「猫、好きなの?」

 この状況を誤魔化したくて、思わず恐々と聞いていた。

「まあな」

 そっけなく返ってきた返事。

 どこかぶっきら棒に、似合ってない髪型でダサく見える見掛けとは一致しない何かを感じた。

 その後は話が続くわけもなく、暫く黙っていると、この場から去るタイミングを失ってしまい、私は立ち往生していた。

 それを見かねたのか、また近江君に話しかけられた。