一人でも真実を知ってる人が居てくれて、少しは気休めになった。

 だけど、世の中自分より立場が弱いと蔑んで見て、踏ん反りかえる人間がいることに腹が立つ。


 相手の感情に振り回されて損害を被ったとばっちり。

 私は敵意も持ってないし、仲良くしたいといつも平和を願ってるのに、この人間関係の難しさになんだか辟易してしまう。


 自分で招いてしまった事もあるけど、嫌な思いばかりが目立って、そして蓄積されていく。

 一体私のどこに原因があるのか、真剣に悩んでしまった。

 

 無事に部活が終わった後は、草壁先輩から一緒に帰ろうといわれ、周りにヒューヒューと口笛を吹かれながら見送られた。

 加地さんは睨んでいたけど、気にしない事にした。


 雨はまだ止みそうもなく、振り続けている。

 梅雨真っ只中だった。

 傘を差しているから、横にならんでも適度な距離が保てるが、告白された後に再び二人だけになるのは意識してぎこちなくなる。


「千咲都ちゃん、なんかよそよそしいな。俺の事避けてるみたいだぞ」

「そんなことないです!」

 思わず強く言い切ったが、実際これもまた無理しているだけだった。


「千咲都ちゃんは純粋だな。そしてお人よしときてるから、損するタイプだ。今日の部屋取りの失敗も、ちゃんと訳があるんだろう。正直に言えばいいのに、我慢して黙ってるんだから」

「いえ、あれは油断してた私が悪いんです。これからは気をつけます」