「く、草壁先輩、なぜここに」

「あの後どう? 大丈夫だった?」


 えっ、あの後? 

 もしかして告白の事? 

 そんな、こんな公衆の面前で、その話題は困ってしまう。


「遠山、すごいな。話聞いたけど、顔面でボールを受けたんだってな。ほんとだ、顔が平らになってる」

「えっ、ボール?」

 近江君に言われ、思わず顔に触れてしまう。


「ハル、からかうなよ。だけど、千咲都ちゃん、どこも悪いところはないかい?」

「は、はい」

 どうやら、怪我の心配をしてくれているだけだった。


 それにしても自分の教室で草壁先輩に出会うなんて、考えてもみなかった。


「そろそろ、自分の教室に行かないと遅れてしまうな。とにかくだ。ハル、さっきの話宜しく」

「ああ、わかったよ。しかし、いちいち一年の教室に来るなよ。皆驚いてるだろ」

「お前のバケの皮剥がしに来たのさ。千咲都ちゃん、こいつに騙されるなよ」

「えっ?」

「ふん、余計なお世話だ。遠山も真に受けるな」

「じゃあ、千咲都ちゃん、また後でね」


 草壁先輩が私にウインクをする。

 なんかビビビビーっと体の中を走りぬけた。