「それで私が近づいたから、ああやって絡んで来たんですね」

「そういうこと。私は頭数に入れられてるけど、実際そんな事に巻き込まれたくないの。だけど、強く言えなくて」

「橘先輩、どうか強くなって下さい。そんな人と無理やり友達になることないです。私が言えた義理もないですけど、すみません」

「いいのよ。あなたに本当の事を言えただけでもすっきりしたわ。このこと、草壁君に話す?」

「うーん、それは大丈夫なんじゃないでしょうか。草壁先輩は事実を知ってもあまり困らないかも」

「えっ?」

「いえ、その、大体の事は気がついているんじゃないでしょうか」

「そうかしら。でも、あなたは常盤さんに目を付けられて困るでしょ」

「追いかけられたら怖いですけど、真実を知ったお蔭で、冷静に対処できそうです。そういえば、常盤さんは私に手紙を書いて下駄箱に入れませんでした?」

「手紙を下駄箱に? それはやらないと思うわ。証拠が残るような嫌がらせはあの人しないから」

「証拠が残る…… なるほど」

「それがどうかしたの?」