「無理をしなくていいんだよ。俺はそういう世間の目というものに捉われすぎて、自分を決め付けてしまった。中身のないハリボテにいい加減嫌気が差したんだ。そんな時、千咲都ちゃんは俺の中身を褒めてくれただろう。あの時、とても嬉しかった。何事にも必死で、一生懸命になって無茶をするのを見てたら、俺も同じように周りを気にせず突進んでみたいなって思ったんだ。それに俺を頼って来てくれたのも、男としての自尊心を高めてくれたというのか、自分にとって前向きにさせてくれるものを感じたよ。君といると、本来の自分の姿をさらけ出せるんだ。こんな事話せるのも君だからだったんだ」


「いえ、そんな、私の方が、いつもお世話になってますし」

 私は照れを隠すように、アイスティーのカップを手に取り、一口含んだ。


「だから、俺は君が好きになったんだ」

「ゴホッ」

 喉から逆流してきた。

 軽く咳払いし、目を真ん丸くして草壁先輩を見つめる。


「千咲都ちゃんの事が気になって仕方がないんだ。それで、俺と付き合ってくれないかな」

 静かにさりげなく言われた。

 驚きすぎて私の時が一時停止てしまった。


 女生徒の憧れのかっこいい先輩が、カフェショップの傍らで、私に微笑みかけて告白している。

 今、私の脳の中でシナプスのつなぎが悪く、それぞれの感情の機能に反応の遅れを生じていた。

 軽くショートして、全ての機能が停止した状態で目だけは草壁先輩を見つめていた。


 そしてやっと脳の回線が繋がった時、私は驚きのあまり目が飛び出た。

 私のイメージ的な感覚であったが、多分、漫画でよくある、ボヨーンって飛び出す感じで。