女生徒の憧れの草壁先輩とこんな風になったことが信じられなかった。

 サッカーボールに当たっただけでこんな展開を誰が予想できただろうか。

 私はモジモジと落ち着かなくてかしこまって草壁先輩を見ていた。


「さっきの続きだけど、俺はこんな事、まず誰にも話すつもりはなかったんだ。だけど、ずっと誰にも言わずに抱え込むのも苦しいものがあってね、一層のこと全部さらけ出したくなるときもあったんだ」


「はい」


「俺にとってはとても恥さらしなことなんだけど、君には話せそうな気持ちになったんだ。それに、君が見せてくれた櫻井からだという手紙。あれを見たとき、なんだか腹が立ってさ、それが自分のやってることと同じだと思うと、自分の中で爆発しちゃった」


「はぁ」


 全然意味がわからず、曖昧な相槌を打ってしまった。

 草壁先輩はそれを見てクスッともらしていた。


「こんな抽象じみた話、分かるわけないよね。ごめんごめん。ちゃんと分かるように話すよ。実は、俺の方が先に櫻井に惚れて、思い焦がれてたのは俺の方なんだ」

「えっ?」


 ちょうとその時、番号が呼ばれ草壁先輩は注文した品を取りにいくため腰をさっと上げた。

 おい、そこで引き伸ばしのCMかとつい、好奇心が疼いていた。