草壁先輩と肩を並べて再び歩くことがあるとは思わなかった。

 辺りをキョロキョロとして、サクライさん親衛隊隊長の常盤さんが周りにいないか確認してしまう。


「千咲都ちゃん、何か気になることでもあるの?」

「いえ、その、へへヘヘヘ」

 誤魔化した笑いが虚しい。


「困ってることがあるなら、俺に遠慮なく言って。ほら、あの時、出渕の手紙の事で僕を頼ってくれたようにさ」

「あっ、あのときはその、切羽詰ってて」


 それも今更持ち出して欲しくない話題なだけに、体がむず痒くなって鳥肌が立ってしまう。

 なぜか意味もなく笑い、ヘラヘラしてるのが情けなかった。

「千咲都ちゃんは、俺と一緒にいると楽しくない? いつもなんかぎこちないというのか、何かを恐れているというのか。もしかしたらまた常盤たちに嫌がらせされてるのかい?」

「えっ、そ、そんなことは」

「千咲都ちゃん、正直に話してくれないかな。俺、本気で千咲都ちゃんの事考えてるんだけどな」

「はい?」

「だから、俺は千咲都ちゃんと付き合いたいってこと」

「えーー!!」

 今一瞬口から心臓が飛び出したのが見えた気がした。