「危ない!」

 四方八方から悲鳴に似た叫びが聞こえたと同時に、バーンというとてつもないエネルギーを顔に感じ、無理やり鼻にスイカが押し入って爆発するような衝撃が走った。

 脳天をつくようなかち割られた痛さ、そして後ろにドシーンと倒れ込んでお尻まで痛い。

 気が遠くなりかけて痛さに悶えて蹲(うずくま)っていると、ドタドタと何本もの足が慌しく集まってきて私を取り囲んだ。

「大丈夫か」


 大丈夫じゃない。
 痛すぎる。


 フンガーと息も絶え絶えに苦しんで地面に座り込んでいた私の体が、引き上げられた。

「ほら、立つんだ。しっかりしろ」

 がっしりと支えられ、部室へと連れて行かれる。

「だ、大丈夫ですがら゛」

 鼻にかかっただみ声で懸命に答えるも、実は全く大丈夫ではない。

 ヨタヨタとふらついて、崩れるように椅子に座ればやっと気がついた。

 私を支えて運んできたのは草壁先輩だった。

「もう、一体何やってるのよ」

 サクライさんが部室に駆け込んできた。

「すみません」

 鼻を押さえながら涙目で謝った。