「まるで私の事観察して、なんでもお見通しって感じがする」

「やっぱり気になるから仕方がない。これも猫が取り持つ縁かな」

「猫?」

 同じ猫好きでブンジの写真をあげたから、私が気になるっていうの? 

 結局近江君との会話は最初から最後までチグハグして、取り止めもなく終わった。

 教室に戻ると近江君は物静かになり、私も何もなかったように静かに席についた。

 近江君にやられっぱなしになったけど、決して嫌な気はしなかった。

 ああやって、思うままに気持ちをぶつけて話せるのは近江君だからのような気がする。

 でも私は近江君を見下してるから、あんな態度が平気で取れるのだろうか。

 いや、そんな事はない。

 近江君はクラスでもトップを争うくらいの成績だし、一人だからと言ってクラスで虐められている訳でもない。

 寧ろ孤高の人といっていい。

 そんな近江君がありのままの私を受け止めてくれる。

 よく考えれば不思議なことだった。

 やっぱり猫好きは猫好きを呼ぶということなのだろうか。

 全てはブンジの事から始まって、ついつい私の方が嬉しくなって心開いてしまった。

 この日は放課後もずっと近江君の事を考えてしまい、部活でもやることが特にないと、ボーっとしてしまった。

 まさかこの時ボールが飛んできて、自分の顔面を直撃するとは考えも及ばなかった。