好きなもの。嫌いなもの。口癖。髪の長さ。

隼人の話からその姿を思い浮かべられるようになった頃には、

体育祭も終わり、季節は初夏になっていた。



「あっちぃ…じめじめする…!」


こらえた熱を放出するように、隼人がのびをした。

プリントを整理しながら、梅雨だもんねーと相づちをうつ。


放課後の教室でただ話す関係は、なんとなく続いている。


私の斜め前の席に隼人が座る。

それも、言葉では結んでいない約束。