掴まれた手をそっと振り返ると、




「座って?」





と静かな声で湊くんにお願いされた。





一瞬どうしようかと考えたけれど、湊くんの真剣な眼差しに捕らえられては、逃げることなんてもう叶わない。





素直に従ってソファーへと腰掛ける。






その姿を見届けて、湊くんがゆっくりと話しだした。






「前にも言ったと思うけど、俺にとって花穂は特別。


他の患者さんなら、強制的に病院に入院させてる。



…だから、家に連れてきたのは花穂以外いないよ。



それに、体調が悪い花穂に負担かけちゃいけないと思って医者らしく振る舞ってただけで、俺だってドキドキしてる。




ただ、かっこつけて隠してただけ。」