そんなある日。



バタバタバタ



ーーーガラッ




慌ただしく診察室へと駆け込んできた看護師から、ただ事ではない雰囲気が伝わってくる。





「湊先生!桜井さんがっ!!」




えっ?




ぱっと立ち上がって駆け込んできた看護師の後を追う。





看護師に連れられて向かった先にはしゃがみこんだままの花穂の姿。



外来で待っている患者さんから見えないよう、受付カウンター内で蹲っていた。





咳き込みが止まらなくて、息がしずらいのだろう。




必死で酸素を取り込もうとしているのが見て取れた。






発作だ。




空いている診察室はないかと、側にいた事務の子に尋ねる。




「そこ、空いてます!」




その言葉を受けて花穂を抱きあげる。




ちょっと身体動かすよ、
と声をかけたが彼女からの返事は聞き取れなかった。