お願い……



出て……!




自分でも深呼吸を心がけるけれど、なかなか上手くいかない。




“もしもし…?”




何回かのコールの後、求めていた人の声が聞こえた。




良かった、繋がった。




「にか…い…の…か…い……ハァハァ…だん…ハァ…
ソ、ファー…ハァ…」




必要最低限の情報を伝える。





“…え?花穂!?”





電話の向こうからは呼びかける声が聞こえるけれど、今はこれ以上は喋れそうもない。





必死で深呼吸だけを心がける事数分。



嫌な汗が身体を伝う。



分かって、くれたかな、、?




なんとか持ち堪え、少し呼吸が落ち着いてきたところに、バタバタとこちらへ近づいてくる足音が聞こえた。