ベッドの反対側へとまわり、注射の準備に取りかかる陽太をじっと観察した。



さっき急に痛みが来たから警戒しているのか、見ていないと不安だった。




「注射からするよ。」




ひんやりとした感覚を腕に感じる。




さすがに刺すところまではみていられなくて、顔を背けた。




そんな私を気遣ってか陽太が声をかけてくる。




「大人でも痛いのは嫌だよな。」




そりゃあ、そうだよ…。
 



顔を背けたままコクンと頷くと、陽太の優しい声が聞こえてくる。




「腕、力抜いて楽にしててね。」




実は注射は少し苦手だ。




「刺すよ。


薬入れるねー。ちょっと痛いの我慢してね。」




陽太の言葉通り、薬を入れているときが一番痛い。




「んっ、、」




「はい、終わり。」