桜井さんの病室のドアに手をかけて少し開けた途端、中から聴こえてきた話し声に俺達は足を止めた。




「…これって。」




由美ちゃんも気付いたようだ。



中で罵倒されているのは桜井さんだろう。





「ひどい…。」



止めに入ろうとした由美ちゃんの手を咄嗟に抑える。




「お願い。もうちょっと待って?」




なぜそんなことを言われているのか理由を確かめたい。




俺の真剣なお願いにぐっと抑えてくれた由美ちゃん。





ーーオバサンが必死にアピールしてんじゃねーよ!





「花穂…、大丈夫かな?」




心配そうな由美ちゃん。





ーー私の邪魔しないで!





「よし、入ろう。」