「この時代に浴衣着てる、ってどういうこと⁇
しかも、なんか木刀 さしてるし。
もう、江戸時代はとっくの昔に終わってますけどー⁇
帯刀は禁止されてますけどー⁇」
男性は、木刀に手を添え
「少し離れろ、そして目を瞑ってろ。」
私は言われた通りに5〜6歩離れたところで目を閉じた。
そして、一瞬。
少しの風を感じる他 何もなかった。
「目を開けていい、悪かったな。」
目の前にさっきまでの不良少年たちはいない。
「助けて……くださったんですか⁇」
「あぁ、迷惑をかけてしまった。」
「いえ……本当にありがとうございます‼︎」
私はにっこり微笑んだ。
「礼には及ばない。」
男性も硬かった表情を少し緩めた。
その後は何もなく、次の角を曲がれば家に着く……というところまで来た。
「もうすぐ、家に着きます。」
「そうか、悪いが 1人で帰ってもらっていいか⁇
俺はここから見守っている。」
「あ、はいっ‼︎分かりました‼︎
ここまで、ありがとうございました。」
男性はニコッと微笑んだ。
そして、私は家に向かった。
家に入る際、誰かの断末魔のような声を聞いた気がした。