「あ~ぁ、行っちゃったね」
「うん」
「わん吉はまた寝てるし」
『いってきます』の志織ちゃんの声に一度は目を開けたわん吉だけど…また眠っちゃった。
ほんと、よく寝るんだから。
「コンは行っちゃったし戻ろうか」
「そうだね。ミラクル·マジカル·ヒナクル、えいっ!」
バトンを一ふりして元の陽菜ちゃんの部屋に戻った。
「おかえり。どうだった?」
「わん吉、寝すぎ!」
「えっ?」
わん吉が驚いたように
「なに、それ?」
みんなも
「コンの行方不明と関係あるのかい?」
不思議そうな顔をしている。
「コンはね…」
涼ちゃんのリュックに入って一緒に行っちゃったこと、わん吉はお見送りをした後また眠ったことを話した。
「わん吉!」
「ご、ごめん。僕朝は弱いから」
恐縮して後退り。
「もういいよ。だけどなんで涼ちゃんのリュックなんかに」
「わん吉を驚かそうとして入っちゃったんじゃないかな。まさか閉められるって思ってなかったのかも」
「そうかも」
「だけど…」
「うん、どうする?」
みんな頭を寄せ合い思案。
「コンも心細いよね」
深く潜り込んでたら例え涼ちゃんがリュックを開けたとしてもコンに気づかないよ。
もし、気づいたとしても偶々入ったぐらいにしか思わないだろうからわざわざ陽菜ちゃんに知らせない。
だって涼ちゃんは僕等が生きてるなんて知らないもん。
さて、どうしようか。
「今、何時だろ?」
陽菜ちゃんの机に置いてあるデジタル時計を見ると10時半。
「もう涼ちゃん達も寝てるよね」
「うん、そうだね」
「じゃあちょっとだけ時間を遡って涼ちゃんとこに行って来るね」
「そうだね、それがいいよ」
また手が使えるウサと一緒に
「ミラクル·マジカル·ヒナクル!」



