「今日は、ウェディングドレスを
試着させてもらおうと思って。いいよね?愛美」

「えぇ、早速ご案内致します」
にこやかと業務スマイルをする私。

こんな時には、お兄さんも居るし
智也は、智也で気まずいのか私と目を合わせようとしない。
何なの?コイツらは……。

イライラしながら
貸衣裳を受け付けているところまで案内する。
そこには、たくさんのウェディングドレスが用意してある。

「うわぁ~凄く綺麗。
これもこれも可愛いのから綺麗なドレスまである~」
大はしゃぎの恵梨香。

恵梨香は、昔から可愛い物や綺麗な物が大好きだ。
ウェディングドレスは、女性の憧れて
はしゃぐ気持ちも分かる。

「ねぇねぇ智也君。
これとこれならどっちが似合うかなぁ~?」

「えっ?そうだね……恵梨香なら」
少し戸惑いながらも一緒にドレスを選びだす智也。

ズキッと胸が痛む。
本来なら私が恵梨香の立場だったのに……。

別れた私には、そんな権利がない。
夢だったウェディングドレスは、今だに着れないままだ。

あぁ、ダメだわ……。
何だから涙が出てきそう。
するとお兄さんが私の隣に立ってくる。

「……いつまでも引きずってるな。
あんな男のために」
聞こえるか聞こえないか分からないぐらいの
小さな声でボソッと呟いてきた。