月日は流れ、高校生活も終盤。俺は警察官採用試験に向けて部屋にこもり勉強していた。「コン、コン」部屋をノックする音が聞こえた。「はい!」俺が返事をすると母が「入っていい?」と言う。珍しい・・・母はいつも勝手に入ってきたりするのにあらたまってなんだろう・・・「いいよ!」俺が返事を返すと母は笑顔で部屋に入って来た。母「勉強してるの?」俺「まぁね。」母「大学・・・行かないんでしょ?」俺「うん。大学には行かないけど公務員になろうかなって思ってさ(笑)」母「公務員?(笑)公務員って言ったって色々あるじゃない(笑)なんの公務員?(笑)」 俺「警察官になろうと思って(笑)」そう俺が告げると母の顔から笑みが消えた。母「聖徒には一度も言った事ないんだけど、お父さん・・・聖徒は警察官にさせたくないって言ってたわ。」俺「なんで?」母「俺と同じ苦しみを聖徒には味わいさせたくないって言ってたのよ。」 俺は正直ショックだった。父は一度も家族の前で愚痴や弱音を吐いたことがなかった。だから俺は警察という組織はとてもよい職業でとても良い職場だと思っていたからだ。母「もし聖徒まで死んでしまったら・・・とか良くない事ばかり考えて・・・母さんはそれだけで生きてる気がしなくてね・・・もう辛い思いはしたくないのよ。」俺「大丈夫だよ。俺は死なないから。約束するよ。誓うよ。」母「(笑)何を言っても、無駄みたいね(笑)そういう頑固な所は父さんそっくり!!(笑)寒いから風邪ひかないように勉強頑張りなさいよ!」母はそう俺に告げ部屋を出て行った。その時の母の顔はすっきりしていて何か吹っ切れた様にも見え、半面とても寂しく、切ない様にも見えた。そして俺は眠りについた。