ドクターが出てきた。 皆がツバを飲む。 「最善を尽くしました・・・普通なら即死の状態にも関わらず彼は戻って来ようと最後まで諦めませんでした。完璧に私の力不足です・・・申し訳ございません。」嘘だろ・・・父さん・・・俺は信じられなく、自分の目で父を確認しなければ納得が行かずドクターをはねのけ部屋に入った。 そこには見たことのない弱々しい父の姿があった・・・「父さん?父さん?目を開けてよ!起きろよ!誰が母さんを守るんだよ!誰が弱い人間を守るんだよ!起きろよ!刑事ってのはこんな事ぐらいで死ぬのかよ!刺したやつ捕まえろよ!父さん!父さん!!!」興奮した俺を母を含め三人の警察官が押さえつける・・・でも俺はその時に父の手が握り拳を握っていたのを今も忘れず胸に、目に、焼き付けている。その時俺は胸に、心に、深く刻んだんだ。必ず仇は討つよ。絶対許さない・・・父が握り拳を握っていたのはよっぽど悔しかったんだ・・・そのプライドを俺にも少し分けさせてもらいます。あなたの思いを決して無駄にはしません。