君がうたう七つの子

僕がレイの姿を知っていることを理解できない父親が、そう言葉をもらした。

そうでなければこんなことはあり得ないと思ったのか、その表情は確信に満ちている。

そのほかの可能性などまるで考えていない彼に、僕はバッグから出した一枚の紙を見せた。

「これは、先日役所でもらってきた住民票です。

勿論本物ですよ。

ここの日付を見て貰えばわかりますが、僕は彼女の事故の後にこの町に引っ越してきました。

そこに嘘はありません」

僕が指さしたところに視線を滑らせた彼は、数秒そこを凝視する。

そしてやっとその事実を理解できたのか、目をこれでもかと大きく見開いた。

「そんな―――

では何故。

何故君はレイの事を知っているんだ。

あの歌も、レイが歌っていたものだ。

なら―――」

「いえ、彼女に会ったことはありません。

すれ違ったことも。

何せ僕は県をまたいでこの町にやってきましたから、そうそう接点なんて作ろうと思っても作れませんよ。」

僕は彼の疑問を徹底的につぶしてゆく。

今のうちに彼の疑問をすべて壊さなければ、これから話す内容に勝手に変な理由を付けられて、信じてもらえなくなるかもしれない。

それだけは避けたい。