君がうたう七つの子

僕は父親の手から逃れるようにして体をひねり、三人の顔が見える様に向き直った。

「レイと言う存在は、後悔と言う重りが、戒めが無ければ無くなるような、小さいものですか」

「何を言っているんだ君は!」

もはや問いでは無く確認するように語り掛ける僕に、父親は激高し、再び肩を掴まんとする。

そして母親は―――――

「ふざけないで・・・

馬鹿なことを言わないで!!!!!」

力のこもっていなかった目に、確かな憤怒の炎を燃やして、勢いよく立ち上がって、転がるようにして僕の方へやってくると、父親よりも早く僕に掴みかかって、叫んだ。

先程までの姿のどこにそんな力があったんだよなんて、片隅で考えながら僕はこちらを親の敵とばかりに睨み付けてくる彼女に視線をやった。

いや、親の敵では無く、娘の敵か。

今僕は、彼女たちの大事な娘である存在を侮辱したのだから。

「馬鹿なこと、ということは、そんなことはあり得ないということで良いんですか。

レイを忘れることなど、何があってもないのだと

後悔など無くとも、忘れないと」

「当たり前じゃない!!いきなりなんなの!

子供を忘れるなんて、レイを忘れるなんて、そんなこと出来るわけがないじゃない!!」

「それは、レイに誓えますか」

「そう言っているのよ!」

髪を振り乱し、目をらんらんとぎらつかせ、僕につめよる彼女の言葉に偽りはない。

そして僕は、彼女に胸倉をつかれたまま、レイの父親に問う。

「あなたもそうですか。レイの事、忘れることはありませんか」

「なんなんだ、さっきから!

無礼にも、不躾にもほどがある!

警察を―――」

「いいから!

僕の問いに答えてください!」

彼の言葉を遮るようにして、僕は叫ぶように声をあげる。

吠える、と言う表現のほうがあっているかもしれない。

「――――当たり前だろう。

あの子を忘れることなど、死ぬまで・・・

いや、死んでも忘れられない」

僕の声に気圧される様に答えた言葉にも、偽りなどなかった。

力なく垂れた腕は、彼の心を表しているようで切なくなった。