君がうたう七つの子

「じゃあ、ここに毎日いる人っていうのも?」

「え?まぁ、毎日来ているけれど、どうして知っているの?」

「噂があって。この土手に毎日のように来ている人がいるって。

なるほど、あなたのことだったんだね」

妙に得心がいったというように頷く彼女。

しかし、僕はそうはいかない。

引っ越してきたばかりだし、噂になる程のものはないはずなのだが。

「知らない?

”あの土手に毎日男の人がいる”って噂

あと、その人は異様に独り言が多いっていうのもあるけど」

「・・・・・・・独り言はともかくとして

それは事実だけど、わざわざ噂になるほどのこと?」

「ここは普通の土手だけど、そうでないとも言えるから」

そういった彼女は足元に静かに視線をそらす。

そこには彼女へのお供え物があって、僕は成る程と相槌をうった。

確かに事故現場に毎日いる人となれば、多少は印象が強くなって噂にもなるかもしれない。

その上―――

「それに変な噂も元々あったから」

そう、それはレイ自身が語っていた。

ここには事故で亡くなった怨霊の少女がいて、呪い殺すのなんだのと言う噂。