君がうたう七つの子

それを信じてくれた彼は今度こそ別れを告げて、帰るべく足を動かした。

レイのほうに振り向いて、レイのほうへ向かって歩いていく。

そしてレイとの距離が徐々になくなり、彼女を一瞥する事も無く、気配を感じる様子もなく、彼とレイがすれ違う。

そして、通り過ぎる。

その足の運びに乱れなんてものはなく、迷いなく自分の家へと向かうものに僕は絶句した。

酷くちぐはぐな物語を見たような気持ち悪さに襲われる。

わかっていた。

レイが見えないと気づいた時点でわかっていたことだ。


でも、実際に目にするとそれは耐えられないものだった。


レイはそこに居るのに。

レイのお父さんは今でもレイの事を想っているのに。

それは交わることなんてなくて、どこまでも綺麗な平行線だ。

いや悲しくて、切ない平行線だ。

だから、気づくことなく、話すことも無く

ましてや互いに視線を合わせることなくすれ違う光景も当然だ。

わかっているのに、理屈ではそうなるとしか言えないのに、それをのみこめないのは僕がおかしいからなのだろうか。

―――違う

違う、はずだ。

だってそうだろう。そうじゃないと僕は、本当に自分を見失ってしまう。

このあふれ出てくる当たり前の感情を否定されてしまったら、もう何が正しいかなんてわからない。


わかりたくもない。