隣に住むのは『ピー…』な上司

「一緒に食事しようってだけだ。取って食ったりしない」


私が警戒してるとわかって言っている。
それなら最初から誘わなくていいのに。


「私は……」


「マイペースに生活させて欲しい」…そう言おうとしたのに。


「課長〜!一緒に飲みましょう!」


若い子たちが誘いに来た。


「……ああ」


イヤそうな返事。


連れて行かれる背中を見送る。

ハッキリ断ることもできず、「はぁ…」と深い息を吐いた。



(困ったなぁ)


思案しながらグラスを傾ける。
いつの間に飲み干したのか、オレンジジュースは空っぽになっていた。


課長の唇が付いていたのはどの辺りだったろう。
何も考えていなかった。



(…もういいや、どこでも)


食事も一度だけならしてもいいか。

奢って貰わないで自分の分は自分で払おう。



(それなら貸し借りもないしね)



仕様がなく受け入れる。

課長との距離が、また縮まるとも知らずに。