隣に住むのは『ピー…』な上司

壁の花って言葉があるけれど、私ほど似合わない女子はいない。

花どころかまるで石。
壁の一部にでもなったような気分です。



「アイ〜、飲んでる〜?」


上機嫌の真由香が戻ってきました。
さっきまで課長を取り囲んでワイワイと盛り上がっていたのに。


「飲んでるよ」


ウーロン茶をね。


「…ねぇ真由香、私そろそろ帰ってもいい?」


交流とかしなくていいから。


「そう言わずにいてよ。課長からも帰すなって言われたし」


また課長か。
一体何を考えてるんだ。


「引き止められる理由がわからないよ」


そりゃ課長の貢献を祝っての打ち上げよ。
販促課の一員として参加しないといけないのもわかるし、取り敢えず乾杯には参加した。


でも、お酒も交流もニガテ。
真由香には気を使わせてるしいるし、ここにいる理由も見つけられないんだけれど。


「アイのこと気にかけてるってことでしょ。いつもジミな仕事して頑張ってるし」

「ジミな仕事じゃないよ、事務は」


想像力を働かせれば可能性はいくらでも広がっていく。
データ管理も資料作成も、いかに効率的良く仕事を進めていくか考えるのは難しい。

外回りだけが主な仕事じゃない。
ポップ作りやチラシだって重要な販促の一つだ。


「そうだぞ」


聞き覚えのある声がして振り向いた。
今日の主役がビール片手に寄ってくる。



「課長……」