『そこで、従兄弟に……犯されそうになって……』


震えながら苦しい過去を吐露した。

治まった発作を起こさせたくなくて、それ以上は言うなと止めた。



『……明日は予定通り戻れそうですか?』


泣いてるのをごまかすように問われた。

待ちわびてるようにしか受け取れなくなってしまった。



『戻るよ。帰ったら直ぐに受け取りに行く』


『君の寂しさを』…というセリフは吐けなかった。

そういうキャラじゃないことは、自分が一番よくわかっている。



(側にいてやりたい…)


今日の白鳥を見てそう思った。

同情ではなく、あいつを守ったやりたいと思った。



『たす……けて……』



閉ざされた心の叫びを聞いた。

震える肩が切なくて、あんな言葉を言ってしまった……。



『懺悔を抱えたまま人生を送って下さい。何よりもそれが一番の謝罪になります』



……この俺が言うセリフか。

それは散々、俺自身が自分に言ってきた言葉だろう。


どの面を下げて言えるんだ俺は。

下げるも何も、偉そうなものは全く持ってなどいないのに。


あるとしたら、あの男と同じ苦しい気持ちだけだ。

トラウマを抱えているのは、俺もあいつも同じだ。


過ちに怯えながら生きてる。

あの男も俺も悩みながら葛藤している。


……だから、時折自分が許せない。

悔やんでも帰ってこない日々に、気持ちが落ち込んでしまう日だってある。