カサコソと動く小鳥の姿を目にした。
昨日よりも体調の良さそうな感じで、止まり木の上を行ったり来たりしている。



(今だけだから…)


課長との接点もこの鳥を預かっている間だけ。
後は隣に住んでいようが何だろうが、近づけるのはよそう。


必要以上に近づいてもいけない。
課長には課長の生活ってものがあるんだから。



そう思うと、少しだけしんみりとした気分になってしまった。
課長と小鳥の会話を聞いていた時のような華やかさが、私の毎日にはありません。


今だけが彩りある日々に思える。
この先にはきっと、味わえないような幸せの時間。




「ピーチ」


小鳥の名前を呼んでみた。
可愛い声は返らなかったけれど、翼を広げて威嚇されるようなことはなかった。


「課長の声のお陰かな」


飼い主の声を聞いた小鳥は、薬もきちんと飲み込んでくれた。

小日向真史さんの不思議な魅力をまた一つ知ったような気がしました。


困ったら明日こそは電話しよう。
ピーチに関することだけならきっと笑って答えてくれる。


そう思えるだけでも嬉しい。
今だけだとしても、やっぱり心強い。

本当は近寄ってもらうと困る人との関係は、思っている以上に近づいてる気がしましたーーー。