隣に住むのは『ピー…』な上司

「出張?」

「そうだ」


苦虫を噛み潰したような顔(つまりいつものクールさに毒が加わった様な顔)つきで、課長は玄関に立っていました。


私が入れたわけじゃありません。
でも、結果としてそうなってしまった。

何故かと言えば……





部屋のチャイムが聞こえたのは午後7時過ぎ。
軽い残務整理をして帰れば、そんな時間になるのは当たり前です。


ピンポーン!


すぐに課長だと気づきました。


「はーい」


やっと小鳥の世話から解放されると思って喜んだ。
これで安心…とばかりに、ウキウキしながらドアを開けたら……


「悪い、これ入れさせてくれ」


両手に荷物を持った課長が入ってきました。


「何ですか、これ……」


ドサッと玄関口に置かれていたのは。


「ピーチの鳥かごと餌、それから掃除道具一式だ」


いやいや、それは見ればわかりますけれど。



「あの、どうしてコレをうちに?」


課長の部屋は隣よね!?
ここは私がシングルライフを送る為に越してきた部屋だけど。


「悪いが明日から出張へ行かされることになった。3泊4日の予定だから今晩から頼む」

「出張?」

「そうだ。早朝から出かける」


そのやり取りを交わした後、ハッと驚いて尋ねました。


「頼むって何を?」

「当然、ピーチの世話だ」

「はっ!?世話!?」


繰り返した後で思考が停止してしまった。

課長は呆然としている私に構わず、部屋へと上がりこんでしまった。