1週間、何事もなく過ぎていきました。
あれから泰明は来ることもなく、私は発作が起きることもなく日々を送っている。


課長とピーチの生活は時々聞こえてくるけれど、声と鳴き声で何となく判別できるようになりました。


朝起きると課長は窓辺にカゴを置くようにしているみたい。
仕事へ行くまでの間、日光浴も兼ねているらしいんです。


「ピーチ」


呼びかける声が優しい。
オフィスで聞かれる声とは、まるで別人のような気がします。

休みの日にはベランダへカゴを出しているみたいだった。
それがわかったのは日曜日のこと……



午後からいきなり大雨が降り出し、私は急いで洗濯物を取り込もうと窓を開けました。
すると、隣のベランダから『ピピッ!ピピッ!』と甲高い小鳥の声が聞こえてきて。



(ピーチ?)


防火板の隙間から除くと、カゴが物干し竿に掛けてある。
いきなり降り出した雨に打たれそうになっていて、声を上げていました。


(課長は?)


部屋にいないみたいだった。
そう言えば今日は市内のスーパーへ販促の出張へ行くようになっていた気がする。



「どうすればいいのよ」


雨も酷いけれど、風もかなり吹いてきてる。

小鳥が風邪を引くかどうかは知らないけれど、もしもカゴが落っこちでもしたらーーー



「課長ったら…どうして入れて行かなかったの!?」


余計なことだけれど心配した。
気になって仕方なくて、何度も外へ出て確かめた。