「これって……インコ?」


鳥は詳しくないからよく分からないけれど、ひょっとしてそうなのだろうか?


「なんていう種類だろう?オカメじゃない、えーと、セキセイインコとかいうの?」


親指の腹で撫で撫でと頭をなぞると、気持ちよさそうに目を瞑った。


「なんてラブリー♡」


カワイイ。
本当にカワイイ。


「何処から飛んできたんだろう?上の階?それとも下……?」


手の中に包んだままベランダの端に寄る。

8階建てマンションの上下を見て、右隣のベランダを見越した。



「おっかしぃなぁ……誰も探してないなんて……」


時々カゴを離れたインコがスズメの群れで暮らしているって話は聞いたことがあるけれど。


「もしかして、あんた。その部類?」


インコに話しかけたところで答えてくれる訳もなく。


「どうしよう。放す訳にもいかないし……」


手に入れたまま暫し呆然とベランダのフェンスに寄り掛かった。


そこへ、左側の部屋から叫び声がして………





「ピーチ!」




(ピーチ?桃かしら?)


ドタバタと暴れるような足音が聞こえたかと思うと、いきなり目の前に人が現れた……



「ピーチ!ピーチ!どこ行ったー!!」


ピーチ、ピーチと騒ぎ立てる人をどこかで見たことのあるような気がして、思わず防火板の向こうを覗き込んでしまった。