『辛くなったらなんでも言えよ』


相談に乗ると言う泰明をとても頼もしいと思った。
頭もいい上にカッコ良くて、背も高い彼に憧れていました。



……でも、生活する中でそれは次第に変わっていった。

叔父さん家で暮らし始めた2年後の夏休みのこと……




『泰明君、ちょっといい?』


夏休みの宿題を教えてもらおうとノックもせずに彼の部屋に入った。



『藍…っ!』


バササッと音がして足元を見たら、思春期真っ盛りだった彼はHな本を見ながら自慰行為をしているところでーーー



『ご、ごめん!』


慌てて部屋から出ようとした。

でも、直ぐにその手を押さえられてしまった。




『待てよ』


その声は今も耳から離れません。

ビクつく私を更に怖がらせることになった、低くて陰のある声ーーーー



ぐっと掴まれた手首の痛みは、今も時々思い出します。

走り出しそうになるくらい、強いパニックを起こす時もある。


泰明はそれまで見せたこともない顔つきで、ヒソッ…と耳に囁きました。



『抱かせて』



ぞわわと寒気が走った。

振り解きたくても解けない手の力に、限りない恐怖を覚えた。



『やだっ!』

怖くなって叫んだけれど、その時は私と泰明しか家にいなくて。



『やだっやだっ、離してっっ!!』


抵抗すればする程、泰明は興奮してくるみたいでーーー