私の両親は、中学一年生の時に亡くなりました。

梅雨の大雨が降っていた朝、スリップしてきた2tトラックと両親の乗っていた乗用車とが正面衝突をしたんです。


ほぼ即死だったと聞かされたのは、搬送先の病院でのこと。





『うそっ…やだっ…!!』


両親の遺体に泣きついて、三日三晩泣き明かした。

憔悴したまま通夜と葬儀を終え、遺影と遺骨の前でボンヤリとしていたら………



『藍ちゃん』


父に呼ばれたのかと思って振り向くと、そこには父を思わせる叔父さんの姿があって。



『叔父さんの家においで。そこから学校へ通えばいい』


天涯孤独になった私を引き取ると言ってくれた叔父さん。
後から聞けば、保険金も絡んでいたからじゃないかと言われた。


…でも、その時の私としては嬉しかった。
両親のいなくなった後、どうやって生きていけばいいかわからずにいたから。



両親の遺骨を胸に叔父さん家の玄関をくぐった。
洋風建築で建てられた家には、広い吹き抜けが見えていた。



『今日から家族になる藍ちゃんだ。皆、仲良くしてくれよ』


叔母さん、泰明、美幸ちゃん……
三人とも笑顔で私を迎え入れてくれた。



学校も転校して新しい中学へ通った。
元々人見知りなところもあったから友達らしい友達もできなかった。


毎日一人で登下校している私を一番最初に気にかけてくれたのは従兄弟の泰明。

高校一年生だった彼を私は兄のように慕っていました。