隣に住むのは『ピー…』な上司

「悪かったな」


部屋へ帰り、ベランダにいた白鳥に謝った。


「何のことですか?」


洗濯物を取り込んでいた彼女は、手に持っていた服をカゴの中に押し込んだ。


「メロン。あんまり好きじゃなかったんだろう?」


困り顏イコール嫌い。
大抵の女はそんな感じだと思う。


「ああ、メロンですか?いえ、とても美味しかったですよ。まだ冷蔵庫に残ってますけど、腐らないうちには食べれます」


ケロッとした表情で話し、「たまには贅沢な気分が味わえて幸せです」と言った。

それでは今日一日中、なんであんなにボンヤリと仕事をしていたんだ。



「白鳥くん、あの……」


「えっ…」


彼女のドングリ目が俺を見つめる。

こんな近距離で部下と接するなんて、これまでの生活からは考えられないことだ。



(深入りすまい)


咄嗟に決めて「いや、いい」と断った。

直ぐに逃げ出すのもおかしな気がして、タバコを燻らせながら空を見上げた。



「ピーチちゃんは元気ですか?」


不意に思い出したように聞かれ、ぎくっと背筋が緊張する。



「あ……ああ、まぁな」


ピーチは既に鳥かごの中で眠りにつきかけてる。

やたらめたらに餌をあげてはいけないと、本当の飼い主から注意された。


「小鳥って可愛いですね。小さくて色がきれいで……ピーチちゃんはオスですか?それともメス?」